ガレージ探訪

1/1スケールの跳ね馬を眺める家 

福島県/K邸

男にとってスーパーカーは、理屈ではなく“本能”に刺さる存在だ。
ポスターを壁に貼り、ミニカーを並べ、いつかは・・・と夢を見る。
今回のガレージオーナーKさんも、そんな少年の延長線上にいる一人だ。
ただ違うのは、その夢を住まいの設計段階から現実に組み込んでしまったことだろう。

この家が完成したのは17年前。そのときからガレージは、明確に「フェラーリを収めるための空間」。として設計されていた。
最初に迎え入れたのは空冷のポルシェ993。
左ハンドルのマニュアル車に慣れるための“準備期間”だったという。
そして満を持して手に入れたのがフェラーリ348。
さらに一年後、現在の愛車であるフェラーリ512TRへとステップアップした。
「自分でも飽きっぽい性格だと思うんですが、512TRにはもう15年も乗っています」。
フラット12が奏でる官能的なサウンド。
ワイド&ローの圧倒的存在感。
その魅力は、時間を超えて色褪せることがない。

家そのものがショーケース

K邸の1階は、LDK・書斎・ガレージが大きなガラスでつながる構成だ。
どこにいても、常に跳ね馬の姿を感じられる。
リビングはモノトーンで統一された広々空間。
85インチの大型モニターとこだわりの音響設備が設置され、映画やモータースポーツ映像の臨場感はまさにシアターレベル。
仲間が集まり、F1中継を大画面で観戦する夜。
グラスを傾けながら視線の先には512TR。
そしてもう一つ、この家を象徴する存在が大きな水槽だ。
光を湛えた水景と、ガレージ越しに見える赤いボディ。
静と動、生命と機械。そのコントラストが実に美しい。
「1/1スケールのモデルカーを家の中に飾るイメージで設計しました」。
ロッソ・コルサの赤で統一されたブラインドやメンテナンスツール、ソファー。
すべてが512TRを主役にするための演出だ。
構造上の制約からガラス面は限界サイズまで拡大。
それでもなお、十分すぎる存在感を放っている。

書斎という名のフェラーリ・ワールド

リビング奥の書斎に足を踏み入れると、そこは別世界。
壁一面にディスプレイされたフェラーリのモデルカー。
デスクに座れば、ガラス越しにガレージを一望できる。
まさに“実車サイズのショーケース”。
書斎からは直接ガレージへ出入りできる動線も確保されている。
仕事の書類をまとめ、そのままクルマに乗り込んで出発する・・・そんな使い方も可能だ。
「雨の日は乗りませんけどね。でも家の中から直接クルマに行けるのは本当に便利です」。
現在は512TRとの時間を楽しんでいるが、胸の奥には次なる跳ね馬の影もあるという。
「いつかはまた乗り換えるかもしれません。まだ先の話ですけどね」。
このガレージなら、どんなフェラーリが収まっても様になるだろう。

―ガレージハウスを作ったきっかけは?

「愛車をリビングから眺めたい。愛車を見ながらお酒を飲みたい。そんな居場所が欲しかったんです」。
単なる利便性ではない。“眺める時間”そのものが目的なのだ。

―建ててから何が変わりましたか?

「まず、友だちが変わりましたね。クルマ仲間が一気に増えました」。
自然と集まる同好の士。クルマ談義に花が咲き、エンジン音やメンテナンス論で夜が更ける。ガレージは人を呼び、縁を広げる。

夢は住まいに組み込める

K邸は単なるガレージハウスではない。
フェラーリという象徴を中心に、住空間そのものを再設計した“ライフスタイルの完成形”だ。
リビングで寛いでも、書斎で仕事をしていても、そこには常に512TRの気配がある。
スーパーカーへの憧れは、少年の幻想では終わらない。
覚悟をもって設計すれば、日常そのものになる。
次にこのガレージへ収まるのは、どんな跳ね馬だろうか。
Kさんの夢は、まだ走り続けている。

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